もっと豊かな森役に立つ森を創ろう!

 私の経験:太田猛彦(東京大学名誉教授)
 東京農工大、東大、東京農大で森林環境学、森林水文学、治山・砂防学の研究・教育に約40年間携わってきました。
 この間、砂防学会、日本森林学会、日本緑化工学会の会長および日本学術会議会員を務めたほか、国や都県の関連行政機関とも関わってきました。
 現在はFSCジャパン、かわさき市民アカデミー、さいたま緑のトラスト協会などで活動しています。

太田猛彦ホームページ(トップページ更新:2018年1月10日)

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 森林管理・自然環境保全・自然災害防止などについて太田猛彦の考え・活動を紹介するため、2010年1月にホームページを開設して8年が経ちました(4ヶ月ぶりの更新です)。

 日本の森の現状、持続可能な社会での森の役割など、おもに森林環境学の観点から皆さんにもっと知っていただきたい森の実像があります。その視点で地球史や人類史を概観すると、現代文明の本質や低炭素社会・自然共生社会の構築に関して新たな見方や対処法が浮かび上がります。

 昨今は国内外の政治・経済・社会の大きなうねりに目が行きがちですが、トランプ氏がどのように主張しようとも、地球温暖化防止対策の更なる推進は待ったなしです。また、森林・林業の振興も予断を許しません。昨年の熊本地震に続き、今年もまた九州北部豪雨で多くの犠牲者が出てしまいました。自然災害への対処法やエネルギー供給政策は進歩しているのでしょうか。日本の森林や自然は大丈夫でしょうか。

 これからも森の保全と適切な利用について考えていきたいと思います。

●左側にメニュー画面が表示されていない場合はここ(メニューを表示)をクリックしてください

お知らせ:

・近年極端な気象現象が目立つ中、広島市、常総市、岩手県岩泉町などに続いて昨年は九州北部豪雨で多数の犠牲者を出してしまいました。この豪雨では朝倉市を中心に多数の流木が発生し、今後の流木災害の増加を心配する声も大きいようです。流木災害についてはぐりーん&らいふ2017年秋号・冬号および治山林道広報2017年12月号で解説しました。「林業と流木災害および続・林業と流木災害」あるいは「流木災害と森林管理」をご覧下さい。

・適切な林業の発展に向けてFSC森林認証制度の普及に努めています。最近は山梨県、三重県、浜松市などFSCの取り組みが行われている約30の自治体の首長さんが「FSC認証材供給応援宣言」を発表したり、スターバックスがFSCのロゴマーク入り紙カップを使用したり、更に日本マクドナルドも2019年にはFSC認証紙製容器100%達成を目指すなど、FSCの認知度は少しずつ向上しています。世界中で信頼されているFSC森林認証制度の一層の普及にご協力をお願いいたします。
 なお、東京オリンピック・パラリンピックで使用する木材の調達基準では森林認証材の調達が推奨されていますが、森林認証制度の本来の意義について簡単に解説しました。ぐりーん&らいふ2016年夏号「森林認証制度」をご覧下さい。

・私がコーディネートしているかわさき市民アカデミー「環境とみどり」(講座・ワークショップ)では、現在、2018年度前期の受講生を募集しています(川崎市民でなくとも受講できます)。今期の講師としては平田直先生(東京大学地震研究所教授・地震予知センター長:南海トラフ地震対策)、蟹江憲史先生(慶應義塾大学大学院教授:SDGsとは何か)、安藤直人先生(木材・合板博物館長:木造建築の新たな展開)などが講義を行います。詳しい内容についてはメニューのかわさき市民アカデミー「環境とみどり」をご覧下さい。

・一昨年6月から公益財団法人「さいたま緑のトラスト協会」の理事長を務めています。同協会会員および関係者の皆様方にはご指導、ご協力のほどよろしくお願いいたします。また埼玉県民の皆様には現代のトラスト運動について一層のご理解とご協力をお願いいたします。なお、近く14番目の保全地「藤久保の平地林(三芳町)」がオープンの予定です。

・太田猛彦の今後の講演・講義等の予定(聴講・受講等が可能と思われるもの)を掲載することに致しました。講演・講義予定をご覧下さい。

・熊本地震は東日本大震災に続く“想定外”の災害だったと言われています。“想定外”の自然災害をどう考えるべきか、ぐりーん&らいふ(2016年冬号「土砂災害は常に“想定外”」)や砂防・地すべり技術センター機関紙『sabo』(2016年夏号・巻頭言「想定外の災害」)に感想を書かせて頂きました。

・東日本大震災以降、東北地方での海岸防災林の再生や三保松原の松林保全など「海岸林問題」に関わってきており、関連する執筆が多くなっています。最近の状況については「海岸防災林再生」「海岸防災林の課題」「海岸林の将来像」の3報をご覧下さい

・2015年12月に技術書『松保護士の手引き・改訂2版』(日本緑化センター)が刊行されました。マツ材線虫病の診断と防除法が詳述されています。私は第12章海岸林の生態系保全の概説(1.海岸域の生態系保全)を担当しました。

・2012年7月に出版したNHKブックス『森林飽和 国土の変貌を考える』は、作家・高村薫氏(朝日新聞2013年7月5日朝刊・オピニオン欄)、俳人・宇多喜代子氏(現代俳句協会会長:雑誌「俳句」2013年11月号・随想)などの文化人も大きく採り上げて下さいました。現在第9刷です(第7刷から表紙カバーおよび帯のレイアウトが変わりました)。お読みいただければ幸いです。


(内  容)

第1章 海辺の林は何を語るか−津波と飛砂
第2章 はげ山だらけの日本−「里山」の原風景
第3章 森はどう破壊されたか−収奪の日本史
第4章 なぜ緑が回復したのか−悲願と忘却
第5章 いま何が起きているのか−森林増加の副作用
第6章 国土管理の新パラダイム−迫られる発想の転換

NHKブックスNO.1193 B6判258ページ・定価1,155円









正誤表(第1刷・第2刷)

 『森林飽和』については出版から4年を経た一昨年も全国海岸協会雑誌『海岸』Vol.53(2016年7月発行)に「『森林飽和』と土砂流出の現状」と題して概要を紹介させて頂きました。
 3年前には、NPO法人木材・合板博物館発行の定期情報誌『木と合板』2014年冬号(2-8)・2015年春号(2-9)・同夏号(2-9)に3回連続で紹介されました。さらに、『日経エコロジー』2015年9月号「編集長インタビュー」(58-61)でも『森林飽和』を話題として私が取材され、その記事が掲載されました。

報告・解説・感想:

[2017年後期]
・治山林道広報2017年12月号号に「流木災害と森林管理―九州北部豪雨に学ぶ―」を寄稿いたしました。→流木災害と森林管理をご覧下さい。《NEW》
・ぐりーん&らいふ2017年冬号に「緊急報告:九州北部豪雨災害 続・林業と流木(災害)」を寄稿いたしました。→続・林業と流木災害をご覧下さい。《NEW》
・ぐりーん&らいふ2017年秋号に「緊急報告:九州北部豪雨災害 林業と流木(災害)」を寄稿いたしました。→林業と流木災害をご覧下さい。《NEW》
[2017年前期]
・ぐりーん&らいふ2017年夏号に「森林・林業の周辺事情 土木分野での木材利用」を寄稿いたしました。→土木分野での木材利用をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2017年春号に「いま森林・林業に思うこと 林野公共事業の事業評価」を寄稿いたしました。→林野公共事業の事業評価をご覧下さい。
[2016年後期]
・ぐりーん&らいふ2016年冬号に「いま森林・林業に思うこと 土砂災害は常に“想定外”」を寄稿いたしました。→土砂災害は常に“想定外”をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2016年秋号に「いま森林・林業に思うこと 「山の日」と林業」を寄稿いたしました。→「山の日」と林業をご覧下さい。
・『sabo』2016年夏号に巻頭言として「“想定外”と土砂災害」を寄稿いたしました。→想定外の災害をご覧下さい。
[2016年前期]
・ぐりーん&らいふ2016年夏号に「いま森林・林業に思うこと 森林認証制度」を寄稿いたしました。→森林認証制度をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2016年春号に「東日本大震災その後 第4回」として「山地災害対策の課題」を寄稿いたしました。→山地災害対策をご覧下さい。
[2015年後期]
・日本緑化工学会誌41巻2号(2015年11月号)に「海岸林の現状と将来像」が掲載されました。→海岸林の将来像をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2015年冬号に「東日本大震災その後 第3回」として「海岸防災林の課題」を寄稿いたしました。→海岸防災林の課題をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2015年秋号に「東日本大震災その後 第2回」として「フクシマ森林・林業再生の現状」を寄稿いたしました。→フクシマ森林・林業再生をご覧下さい。
[2015年前期]
・ぐりーん&らいふ2015年夏号に「東日本大震災その後 第1回」として「海岸防災林再生の現状」を寄稿いたしました。→海岸防災林再生をご覧下さい。
・グリーン・エージ2015年6月号に「白砂青松の松原を次世代に引き継ぐ」を寄稿いたしました。→三保松原の保全をご覧下さい。
・グリーン・エージ2015年4月号に「海岸林を造成する視点」を寄稿いたしました。→海岸林造成への視点をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2015年春号に「林業と多面的機能の発揮(3)国土保全(土砂災害防止・土壌保全)機能」を寄稿いたしました。→林業と国土保全をご覧下さい。
[2014年]
・ぐりーん&らいふ2014年冬号に「林業と多面的機能の発揮(2)生物多様性保全機能」を寄稿いたしました。→林業と生物多様性保全をご覧下さい。
・ぐりーん&らいふ2014年秋号に「林業と多面的機能の発揮(1)水源涵養機能」を寄稿致しました。→林業と水源涵養をご覧下さい。
・「森林整備面から見た水循環基本法の制定」について感想を述べました。→水循環基本法と森林整備をご覧下さい。
・グリーン・パワー2014年8月号のシリーズ「福島報告・未来へ森を」第20回 に 「福島で考える理想の海岸林再生」 を寄稿致しました。→福島・理想の海岸林再生をご覧下さい。
・「森林の賢い利用」について感想を述べました。→森林の賢い利用をご覧下さい。
・「森林の“多面的機能”と林業・森林整備」について見解を述べました。→森林の“多面的機能”と林業をご覧下さい。
・「森林組合への期待」について感想を述べました。→森林組合への期待をご覧下さい。
・「伊豆大島土石流災害(2013.10)」について解説しました。→伊豆大島土石流をご覧下さい。

報告・解説・感想(2013年以前)
ぐりーん&らいふ2013年秋号報告「国産材の需要拡大」:国産材需要拡大
ぐりーん&らいふ2013年夏号報告「広葉樹と針葉樹」:広葉樹・針葉樹
ぐりーん&らいふ2013年春号報告「林業の振興」:林業振興
ぐりーん&らいふ2012年冬号報告「森林・林業再生プラン考」:再生プラン考
ぐりーん&らいふ2012年秋号報告「森・川・海の連携」:森・川・海連携
ぐりーん&らいふ2012年夏号緊急報告「森林除染」:森林除染
ぐりーん&らいふ2011年冬号緊急報告「深層崩壊」:深層崩壊
ぐりーん&らいふ2011年秋号緊急報告「海岸防災林」(付:検討会配布太田メモ):海岸林再生
 (関連文書)東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会報告「今後における海岸防災林の再生について」:検討会報告
治山堰堤の撤去についての解説:堰堤撤去

那須の雑木林現況

活動報告
FSCジャパンでの活動
かわさき市民アカデミー「環境とみどり」
さいたま・水とみどりのアカデミー
NPO法人「森の心」での活動
JAFEEでの活動

 ●2010年1月より、太田猛彦の考えを順次発信しています。→2017年1月現在まだ2回しか発信していませんが、以下の「提言・提案」の内容を変更するつもりはありません。提言1についてはNHKブックス「森林飽和」で詳しく解説しました。

提言2. 持続可能な森林管理・林業を推進するため、森林認証制度を積極的に活用するべきである。

森林と人類の関係に関する「森林の原理」によれば、森林の環境保全機能等と木材の利用等はトレードオフの関係にある。森林の多面的機能の持続的発揮のためには適切な管理により両者を両立させる必要がある。その論理は自明であるが実行されていない。森林認証制度の活用等により早急に実行すべきである。
 詳しくは「提言と解説をご覧下さい。

 ●現在考えている「提言・提案」項目(Vir.1、2010年1月)の全体を以下に掲げました。そのあらましは提言の概要をご覧下さい。

    森林・林業政策

  1. 日本の森は今400年ぶりの“豊かな”森を取り戻している。森林に関連するすべての問題はこの事実を前提として議論する必要がある。(解説済・2010年1月、NHKブックス「森林飽和」)     
  2.     
  3. 持続可能な森林管理・林業を推進するため、森林認証制度を積極的に活用するべきである。(提言と解説     
  4.  
  5. 森林・林業政策の基本的枠組みは、林業は農業とともに光合成生産に依存しているものの、むしろ農業との“差異”を明確にすることにより合理的に説明できる。     

  6. 国等による森林・林業への助成拡大策(所得保障など)は、工業生産との本質的相違を説明することによって、その正当性を主張できる。     
  7.     
  8. 森林管理をいっそう科学的・合理的に推進するためには、森林の実態を精密・正確に示すデータベースの構築を直ちに開始するべきである。

    持続可能な社会

  9. 炭素税は化石燃料の使用という“地球の進化に反する行為”のペナルティーとして正当性がある。     
  10.     
  11. 持続可能な社会では“現”太陽エネルギーの利用を第一と考えるべきである。    
  12.     
  13. 持続可能な森林・林業の推進を前提とすれば、積極的に木材を伐採し利用することこそが低炭素社会の実現に貢献する道である。     
  14.     
  15. 自然共生社会の構築に当たっては、環境省自然環境局、農林水産省林野庁、国土交通省水管理・国土保全局の一体的管理が合理的である。将来は統合が望ましい。
  16.     
  17. 流域(地域)環境読本を作ろう。

本の紹介

森林飽和 渓流生態砂防学 水と森 水と土をはぐくむ森 森と水と土の本
農林水産業の多面的機能 農林水産業の技術者倫理 農業・農学の展望 森のユニバーサルデザイン 森林の百科事典
宮川環境読本 Mina's Village and the Forest ミナの村と森 ミナの村と森・副読本    

←ビデオ:
「ミナの村と森」

ユネスコ・アジア教育センターが制作した環境教育/識字教育用ビデオです(監修しました)

(左)英語原版
(中)日本語版
(右)副読本(英語版のみ)
 

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